結婚の準備
昭和三十年頃の結婚準備

新生活への準備・住宅を借りる場合

二人で新家庭をつくる場合、洋服だんす、整理だんすなどの家具もさることながら、まず問題にしたいのが、スイート・ホームを手に入れること。
といっても、こういう場合にはこういう利点ぶある、こういう場合にはこの点に気をつけてほしい、など新婚の住まいのあり方は別項(謝警)参照で、ここではもっと具体的な入みやさわいく手方法を日本住宅協会住宅相談部の宮沢罪久
子氏に伺ってみました。
新居は、住宅を借りて入る場合、建てる場合、買う場合が考えられましょう。

借りる場合
これには公共的な賃貸住宅と、民間のそれとがあります。
(イ)公共的な賃貸住宅
公営の住宅:これは東京、神奈川、千葉など各都道府県の都営、県営、または市営の賃貸住宅のこと。たとえば東京都営の場合、これには一種と二種があります。
一種ー月収(税金の対象となる年間収入を一二で割ったもの)が一万六〇〇〇円以上、三万二〇〇〇円までの人が入居資格をもつ
二種-同じく月収が一万六〇〇〇円未満の人が入居資格者
というようになっていますが、一種については、さらに年二回の申告期間(現在二月、七月ごろ)中に都庁に住宅困窮状況の申告をしていなければ、申込みができないのです。
この困窮状況の申告をすると、都庁ではそれを査定して、ABCDの段階に分け、結果を知らせてきます。その段階によって当選の倍率が違ってくるのです。たとえば、Aなら困窮の度合いが最も高く、したがっていちばん入りやすい、というように。この都庁からの通知のカードを、募集期間中に区役所に持って行き、引替えに申込み用紙をもらうわけです。
二種については、こういう申告は必要ありません。ただし、五年以上都内に住んでいることが必要です。
東京都以外の県営の住宅の場合も、だいたいこれと同じようなもの。
しかし、この困窮状況の申告は必要なく、月収などの資格は同じです。
この公営住宅を申し込むときに準備する書類としては、申込み用紙、米穀通帳、所得証明書、所得税額の均等割決定書など。
また、入居のときに支払う金額としては、敷金(家賃の三倍の額で、出るときには損料を引いた額を返す)、家賃(一ヵ月分で、以降は月末にその月の分を払う)があります。
住宅公団の住宅:日本住宅公団が各都道府県に建てているアパートやテラスハウス(庭つきの二階住宅)めこと。
この入居の月収資格は、それぞれの家賃の五・五倍になっています。
家賃はだいたい四七〇〇円からで、市街地には一万一〇〇〇円というのもあります。
しかし、普通は新婚家庭向きの小世帯用という一DK(一室とダイニング・キッチン)のへやで、四七〇〇円から四八○○円。二DK(二室とダイニング・キッチン)で五六〇〇円ぐらい。都心の二DKでは八○○○円以上というのもあるほどです。
この月収も、税込みの年間収入を一二で割ったもので、二人で合算してもよく、そのときは申込者がその2/3以上の収入を得ていることが必要になります。
また小世帯用(一DK)にかぎり、2/3を入居者払い、残り1/3を親の仕送りでもよく、世帯用にはこの特典はありません。
公団住宅の申込みに準備する書類としては申込み用紙、米穀通帳など。
この入居のときに準備しなければならぬ金額としては、同じように敷金(家賃の三ヵ月分)、家賃(一ヵ月分)、共益費(普通の団地では三五〇円、市街地では八○○~九〇〇円)などがあります。
申込みのあと、抽選があって当落がきまるわけですが、当選してから入居までの順序は次のとおりです。
公団から当選の通知があり、必要提出書類の連絡があります。
月収証明書(これには税金の源泉徴収票の添付が必要)と住民税の決定額の証明書などですが、これは、申込みの本人と連帯保証人(一人で、本人と同等以上の月収資格をもち、世帯をもっている人。印鑑証明書も必要)の二人とも必要です。
このほか、小世帯用で親の仕送りを受ける場合は、その仕送り証明書(書式はきまっていない)、婚約者として申し込むときには婚約証明書(書式は自由だが、挙式の予定日を入れる)なども必要になります。
こうした書類をそろえて、受付日に賃貸契約を結びますが、このときに前記の必要な金」額を支払います。
あとは、工事の進行を見て、入居予定日が通知され、入居者を集めての説明会が行なわれて、カギが渡されるわけです。
住宅公社(住宅協会)のアパート・・各都道府県にある住宅公社(住宅協会)が建てた耐火構造(鉄筋コンクリートなど)のアパートのこと。
入居できる月収資格は、それぞれの住宅によって家賃がきまっていて、それの何倍(だいたい五倍程度)という形になっています。
だいたい、家賃が四七〇〇円から六〇〇〇円ぐらいで、月収税込み二万五〇〇〇円から三万二〇〇〇円ということになります。
それで、家賃が変わると、月収資格も変わってくるわけです。
これには入居する年の住民税の所得割額の決定証明書が必要です歩、この金額に規定があって、最低三〇〇円から九〇〇円となっています。
この月収資格も、共かせぎの夫婦の場合、合算してもよいのですが、申込みの本人がその金額の2/3以上をとっていないといけないのです。
また、申込みの現在、その申し込む住宅の所在都道府県内に住んでいるか、勤めていないと申込みの資格がありません。
なお、今年学校を卒業して勤めたという人、つまり税金の決定のない人も、」年間待たないと、この申込みの資格がないのです。
この公社(協会)のアパートを申し込むときに準備する書類としては、申込み用紙、米穀通帳、所得証明書、所得税額の均等割決定書、など。
また、入居のときに支払う額としては、同じように、敷金(家賃の三カ月分)、家賃ニカ月分)、共益費(一〇〇円、共通部分の経費)などがあります。
申込みから入居までの順序などは、公団の場合とだいたい同じです。、

(ロ)あぎ家住宅の申込み
公営住宅にしても、公社(協会)のアパートにしても、または公団の住宅にしても、転勤その他であき家ができることがあります。
都営住宅の場合には・・一種にしても、二種にしても、それぞれ新しく申し込むときと同じ資格をもっていることが必要です。しかも一種は、引きつづき五年以上都内に住んでいることが条件になります。
一種は住民登録票と印鑑、二種は米穀通帳を持って都庁に申し込みます。
公社(協会)のアパートの場合には・・特に公募しません。新しいアパートへ申し込んで一〇回以上落選した人に、公社(協会)から通知を出します。
公団の住宅の場合には・・落選回数の多少によって違います。
たとえば東京支所では、Aグループ(都心に近い指定された団地への申込み)は、公団住宅に今まで一〇回以上落選した人。Bグループ(指定以外の団地への申込み)は、落選回数一〇回以上の人《当選率がよい》と、落選回数三~九回の人に分かれ旨Cグループ(都心より遠い指定された団地への申込み)は落選回数を必要とせず、Dグループ(どこの団地へも申し込める)鳳落選回数一五回以上の人となっていて、月収資格、保証人などは、新しい住宅へ申し込むときと同じです。
提出書類はあき家入居予約申込書と申込者の住所氏名を書いた封筒。準備するものは米穀通帳、落選分の申込受付票片。こうして串し込んだ人から抽選で予約者をきめ、名簿に登録し、あきしだい入居がきまるわけです。ただし、この登録は六カ月間だけ有効。また、関東支所ではAグループ(落選回数三回以上の人)とBグループ(落選回数二回以下の人で、特定団地のうち三つまで希望できる)とに分かれ、提出する書類その他は東京支所と同じです。

(ハ)民間の賃貸住宅
独立住宅の場合・・これは普通の一軒の家の場合で、その一軒を借りるときと、その住宅の中のへやを間借りするときがありましょう。
戦前は街を歩いていると、大きく貸家と書いた紙を斜めにベタリとはってある家をよく見かけ、貸家さがしもらくだったもの。しかし、戦後のひどい住宅事情がいくらか好転したとはいえ、まだまだ貸家さがしは現在では容易なことではありません。そこで、そのさがし方には、四つのやり方が考えられましょう。
一つは、新聞に「求借家」の広告を出すことです。広告料は、新聞によって多少開きがあり、だいたい一行五〇〇円から七〇〇円ぐらい。なかなか反響もあって、よい家を見つけた例もあるようです。
また、新聞広告に出ている貸家を見てゆくことも一つの方法ですが、新聞広告は、一度自分の目で実際の家を見てから、借りるかどうかをきめたいもの。
次は、自分で住みたいと思う土地を歩いてみて、建築中の貸家やアパートをさがし、それに申し込むやり方。次は、知人や友人に頼んで、さがしてもらう方法。
これがいちばん確実のようですが、ときに好意の誤りや錯覚もなくはないので、気をつけたいもめです。
その次は、これがいちばん多くの場合でしょうが、専門の住宅周旋業者を利用するやり方です。
この場合の手数料はだいたい一割ぐらいですが、業者は、所在都道府県に土地建物取引業者として登録してある店舗を選んでください。店内にこの登録証が展示されている信用ある業者を利用することです。
もし、確実な業者を得られるならば、この専門業者を利用してさがすのが、いちばん確実で安全だといえましょう。
ただ、このとき気をつけたいことは、取引がきちんとすんでいないのに、金銭を払うようなことです。自分でその家をしっかり見届けてから、契約を結んで金銭を払うようにすることです。
また、この民間の間借りの場合は、別にはっきりしたきまりがあるわけではなく、それぞれの場合によって違いますが、子どもが生まれると出なければならない、ということが多いようなので、この点をはじめに確かめておくこと。
この場合、入居のときに準備する金額としては、敷金(家賃の三ヵ月分が普通)、権利金(この金額には標準がなく、もちろん出るときも返還しません)、家賃(これも特に標準がなく、以降は月末払いが普通ですが、なかには三ヵ月先払いというのもある)などがあります。
なお、アパートによっては、台所が共同になっていて、そのための費用を別に必要とするときもありましょう。家賃がひどく安いと思うと、日あたりが悪かったり上いう場合もあるので、気をつけたいもの。
土地担保賃貸住宅・・これは土地をもっている民間の法人(会社)が、住宅金融公庫から融資を受けて、アパートまたは独立住宅を建て、それを貸す場合のこと。
これは民間のものですが、家賃はだいたい公団の住宅なみになっているようです。生命保険会社や電鉄会社などがこの住宅を建てている場合もあり、年に四、五回入居募集の広告が新聞に出るのが普通です。
社宅の場合・・各種の民間会社が、厚生施設として社員住宅を建てていることが、最近だんだんと多くなってきました。
社員アパートとか、社員寮とか、社宅とかいうのがこれですが、内容や入居の条件などは会社によってまちまちなようです。